サブスクリプションサービスといえば「定額制サービス」のことですが、電車の定期券や音楽配信サービスなど様々な業態でサブスクリプションは利用されています。そんな中、最近注目を集めているのが飲食店におけるサブスクリプションの導入です。飲食業界と定額制サービスとが結びつくイメージはあまりありませんが、実は意外なメリットがあるんです。
今回は飲食店におけるサブスクリプションサービスの導入事例を紹介しながら、導入のメリットを見ていきたいと思います。
1.飲食店におけるサブスクリプション導入事例3選
まずは実際に定額制の飲食サービスを導入したという例をいくつか見ていきましょう。飲食店といってもいろいろな業態がありますが、3つほど取り上げたいと思います。
導入事例1:「野郎ラーメン」のケース
「野郎ラーメン」はネーミング通りラーメン店です。がっつり系ラーメンのお店として多店舗展開していますが、アプリもリリースするなど人気が高まっているラーメン店の一つです。そんな野郎ラーメンは2017年11月からサブスクリプションモデルとして定額で野郎ラーメンを食べられるサービスを展開しています。
モデル名は「1日一杯野郎ラーメン生活」で、月額税抜8,600円で毎日1杯ラーメンを食べることができます。アプリで手続きをして店員に見せるだけというシンプルな料金システムを採用していて、全店舗で利用可能です。780円~880円の商品を毎日食べられるので、10杯ちょっと食べればすぐに元を取れます。
これまで多くのメディアで取り上げられ大人気のサービスになっています。ラーメンは今や日本の国民食のみならず世界でも有名ですが、ラーメン好きにはたまらないサブスクリプションサービスです。
「野郎ラーメン」公式サイト:http://www.yaroramen.com/
導入事例2:「coffee mafia」のケース
続いて紹介するのはコーヒーの定額サービスです。日本人はコーヒーが大好きで毎日数杯飲んでいる方も少なくないと思います。そんなコーヒー好きをうならせること間違いなしなサブスクリプションサービスが、「coffee mafia銀座」の定額制コーヒー飲み放題サービスです。
月額3,000円、4,800円、6,500円の3つのプランがあり、それぞれのプランに無料となる対象商品が設定されています(コーヒーは1来店につき1杯、全店利用可能)。例えば3,000円プランなら通常1杯300円のラージサイズコーヒーが無料になります。
4,800円プランならMサイズ350円/Lサイズ450円のクイックコーヒー、通常680円のコーヒーフライトが無料になります。また無料にはなりませんが、一部240円引きになる対象商品もあります。
一番高い6,500円プランではスムージーなどを含むすべてのドリンクメニューが無料になります。コーヒー好きはもちろん、朝やお昼にゆっくりドリンクタイムを過ごしたいという人にはおすすめのサービスです。
Coffee mafia公式サイト:http://ginza.coffeemafia.jp/
導入事例3:フレンチレストラン「Provision」のケース
最後にフレンチレストラン「Provision」のケースを取り上げましょう。なんと高級なイメージが強いフレンチレストランにもサブスクリプションサービスが存在します。2019年9月現在、「Unisonプラン 月額税別30,000円」と「De Luxeプラン 月額税別50,000円」の2つのコースが存在します。
どちらのプランも会員は月額料金を支払うだけで何度でもフレンチを味わうことができます。しかも会員以外に3人を同伴できるという破格のサブスクリプションなので、家族や友人でフレンチタイムを思う存分楽しめます。より高価なDe Luxeプランを契約すると、Unionでは対象外となる高級食材(ウニやキャビア、トリュフ、フォアグラなど)も対象になります。
「Provision」公式サイト:https://provision-tokyo.com/
2.サブスクリプションサービスを導入するメリット
上で紹介した3つの飲食店のサブスクリプションサービスは、どれもメディアで話題になっていて、かなりの人気を獲得しています。話題性という点では、圧倒的なパフォーマンスが期待できる飲食系サブスクリプションですが、導入するにはやはりメリットをしっかり見定めなければいけません。そこでサブスクリプションを導入する3つのメリットを解説したいと思います。
導入メリット1:収入の安定化
通常の飲食店の場合、どれくらいの客が来て、どれくらいのお金を落としていくのかを予想するのはかなり難しいです。天気や交通、客の心理状態や経済状態など様々な要素が関係するからです。しかし定額制の場合、会員は常に一定のお金を落とすことになるので、月初めにはすでにある程度の収入が約束されています。
導入メリット2:支出のコントロール
毎月どれくらいの売上があがるか分かっていれば、支出をコントロールしやすくなります。例えば現在100人の会員がいて、月額5,000円を落とすプランがあるとします。その場合月初めにはすでに50万円の売り上げが見込めているので、原材料の仕入れにどれくらいコストをかけるか計算しやすくなります。
商品のバリエーションが多いほど、通常は仕入れ食材の量を計算するのが難しいですが、仕入れた商品が売れるかどうかに関係なく支出金額を最初にコントロールできれば赤字を防ぎやすくなります。
導入メリット3:追加注文も収入源になる
定額制プランを運営するとしても、プランによってはすべての商品が無料になるわけではありません。対象外の商品は割引価格なしの通常料金で提供することになります。「サブスクリプション会員が追加料金を払って他の商品を注文してくれるとは思えない」と考える人も少なくないでしょう。しかし実際はそうではないようです。
例えばフレンチレストランのProvisionのオーナーによると、9割以上のお客さんが追加料金メニューを注文するようです。もちろん会員の中には「あくまで会員料金の範囲内で収めよう」と考える人もいるでしょう。しかし同伴する人の手前、気分が乗って追加注文する人も少なくないようです。
また定額制だと支払い回数がたった1回で来店ごとに払わない分、お得感を強く感じます。そのため「せっかくだからこの商品を頼もうかな」という気持ちになりやすいと言えます。「コーヒーを飲むついでにサンドイッチも頼もうかな」とか、「ラーメンにトッピングをいくらか追加しようかな」という感じです。
このような追加注文を期待できるのもサブスクリプションならではのメリットです。
3 .まとめ
飲食店におけるサブスクリプションサービスを紹介しました。導入事例やメリットを見ると、今後新しい飲食モデルとして導入を検討する価値は十分にあると言えるでしょう。話題性も十分あるので、新規顧客の獲得にもつながると期待できます。ぜひサブスクリプションサービスを導入できないか一度検討することをおすすめします。